
アトリエの窓から、交差点が見える。
窓際においたデスクで仕事の合間に、そこで信号待ちをする人々を観察するのが楽しい。ふとペンを取って信号待ちをするスタイルのある「待つ人」たちを描き止めはじめた。一日ひとりのペースでスケッチブック 2冊分をそろそろ描き終えそうなので、3冊目のスケッチブックを先日注文した。
今年の夏も猛暑で日傘を持つ人が多く、おかげで傘をたくさん描いた。構造さえ理解してしまえば、実は描くのは簡単でもある。

さまざまなグラフィック表現が摩擦少なく作ることが出来るいま、一本の線の太さ、色、強さ硬さ、配置や大きさ… さまざまな要素を瞬時に選び取って積み上げていく知的な行為はいつの間にか非効率で生産性の悪いものに成り下がったかのよう。
そこで生まれる偶然性のようなものも、経験や直感によって引き寄せることが出来ると思っているけれど、そのリスクをみなが避けて恐れている。

グラフィックにおける、そういった選び取るという身体性を自分の中で持ち続けるためのひとつのプロジェクトとして「待つ人」を描き続け、そのアウトプットの手法としてモニタの中で擬似的な立体として立ち上げてみた。光と影はもちろん機械的な計算によるもの。それでもここに不思議な生命感が湧いてくるのがおもしろい。
自分が選び取った色・形と、機械が計算した処理が重なり合う偶然性も楽しんでいる。

手という身体をもって平面に描いた線を、機械をとおして曖昧な立体に戻す。そしてゆくゆくはこれらを物体としてリアルな空間に作り戻せたら… などと考えたりしている。彫刻、紙、鉄、ガラス、土器など、いつか物質として、実態をもったプロダクトに立ち上げるための自分なりのプロトタイプ。
まずはどれかポスターにしてみようと思っている。

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